日曜深夜(厳密には月曜ということになる)のテレビには,硬派なドキュメント番組が放送されることが多い。事前の予告などがほとんどないため,実際にTVを見て食い入るように見てしまい,ビデオ録画していなかったことを後悔するようなことも多い。
ただ,ビデオ録画しておくと,出来の悪いものだったりして,がっかりするものである。 先ほど見ていたNNN系列のドキュメント05は,結構出来のいい内容の作品であった。 知的障害者を食い物にする勢力の存在,知的障害者への対応を行わない行政,そして,知的障害者を誤認逮捕し,精神鑑定まで拒絶した警察・裁判所の対応と,現在の知的障害者の負っている負の縮図のような出来事を追ったものだ。 知的障害者というのは,いつの世界でもどこの世界でも冷遇されるものである。例外となるのは,世襲制の下で王となることが約束された人物程度である。 知的障害者は,親の世代が健在なうちは何とか生活できるが,親の世代が他界する年齢となると,悲惨な境遇に置かれることが多い。 そして,知的障害に対する偏見というのは,そういう者を親族に持った者でなくては分からないと思う。 「あんな子みたいになりたくなかったら,しっかり勉強しなさい。」とわが子を叱る母親の声を何度聞いたか分からない。言われているほうがどれほど苦しんでいるのか,そういうところに思いが至らないまま,わが子に勉強を薦めるその態度は滑稽ですらある。 どれほど知られているのか分からないが,特定の障害者が利用する自動車については,駐車禁止の地域に駐車しても,駐車違反に問われない制度がある。私らはこれを「駐禁解除」という。 この駐禁解除は,今ではようやく駐車禁止の解除の指定を受けられるようになったが,以前は知的障害者を送迎する自動車には駐車禁止を解除する指定が受けられなかった。 しかし,これは明らかに不合理である。 例えば個人病院の入り口が駐車禁止になっていたとする。 ここで,要介助者が車椅子を利用する身体障害者であった場合には,介助者が「これから駐車場に車を停めてくるから,ここで待っていてね。」と伝えれば,介助者が車を駐車場に停めてそこに戻ってきた場合には,要介助者は車椅子に乗ったまま,そこで待ってくれている。 これに対して,要介助者が知的障害者であった場合には,介助者が「これから駐車場に車を停めてくるから,ここで待っていてね。」と伝えても,介助者が車を駐車場に停めて,そこに戻ってくるまで,要介助者がそこにいてくれる保障がないのである。 だから,こういう場合には,知的障害者を介助する自動車にこそ「駐禁解除」の措置が必要なのである。 私の父は,弟を病院に連れて行った際,2度駐車禁止で検挙された。しかし2回とも正当業務行為又は緊急避難であるから犯罪は成立しないとして正式裁判を求め,反則切符への署名押印を拒絶した。警察・検察での取調べの前日などは,原稿用紙で10枚ぐらいになる意見書を書き上げていた。 結果は,2度とも不起訴だった。父も無事故無違反が継続中である。 知的障害者も,当然,幸福に生きる権利がある。ただ,残念ながら,自分の力だけでは,社会生活の上ではそれを維持できないのである。 自分の力だけでは幸福を維持できない。そういう人を支える。それこそが真の福祉国家であろう。 そういうことを行える国家なら,政治家から「愛国心」なんて叫ばれなくても,私は国を愛することができる。
by nonnbei871234
| 2005-08-29 16:17
| 予防接種
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