某新聞社から,地方の病院の看護の最前線についてルポ取材をしたいという申出があった。
私はてっきり,深夜勤の看護師の業務を1日体験でもしてくれるのかなと思っていた。
そうしたら,勤務後の看護師にインタビューだけして,その後患者にインタビューして記事を書くのだという。
それで何が分かるの?
そんなの,ルポルタージュなんて言わない。
ジャーナリストというのは,真実を伝えるために,ときに戦地に,ときに極寒地に,ときにスラム街などに行き,そこでありのままの現実を体験し,その体験をもとに記事を書くものだと思っていたが,日本のマスコミというのは,そうではないらしい。
追体験ができないものなら仕方がないが(3月11日に津波からどう逃げたかなどというのは,聞く取材しかできまい。),労働の現実を知りたいというのであれば,同じ体験ができるのだから,やるべきだと思う。
自分では労働の現実を何も体験しないまま,「患者本位の看護ができていない。関係者の努力を求める。」なんて偉そうな記事を書かれたりしても癪なので,取材を断った。
アフガニスタンあたりに「行かせてください。」と上司に直談判するような人じゃなきゃ,本当のジャーナリストにはなれない。
夜勤ごときで「明日の取材に影響が出る」なんて嫌がるような人は,そもそもそういう業種で勤めるべきではないと思うわ。