先天性又は20歳前に生じた後天性の原因により,一定の知的障害がある方には,障害基礎年金が支給される。
障害基礎年金は1級と2級に分かれていて,1級のほうが重度で支給額は年間99万円,2級は792,100円だ。
A君は先天的な知的障害があり,1から20まで数えることができるが,たとえば5と7でどっちが大きいかなんてことは,全く分からない。
食べ物は出されればなんでも食べてしまい,やめと言うまで食べ続けしまう。
雨の日,自動車のドアの前に立っていても「ドアを開けて」と言わない限り,ずぶ濡れのままドアの前で佇立している。
入浴も1人ではできないし,「トイレに行こうね」と言えばトイレに行って排便するが,何も言わないと失便してしまう。
こういう子に対し,医師は「ほとんど何もできない。」と診断した。
そうしたら,旧社会保険庁は「ほとんど何もできないということは少しは何かができるはずだ。」と2級と認定した。
ただ,具体的に何ができるかについての認定はない。
親族が電話で抗議した際には「食う能力と寝る能力はある」と言い放ったらしい。
世の中に寝ることが一切できない人はいまい。
審査請求をしたら社会保険審査官から「本人の自筆による委任状を期限までに添付せよ。」との補正命令が届いた。
A君が,審査請求の意味など理解できるはずがあるまい。
結局成年後見の申立てもすることになった。
これぞお役所仕事だわ