最近,医療現場で,EBM(Evidense Based Medicine)との言葉が使われている。
要は,現在行われている治療方法などに,効果が見られるかを,統計学的に検証しようという動きである。
出身医局が様々な医師が混在するような大病院では,同じ症状の患者様に対して,A医師は昇圧剤,B医師は降圧剤,C医師は薬剤を投与しないという指示を出したりするそうだ。
そうだというのは,幸い私は,このような指示を受けたことがないため,伝聞だからである。
あるときまで有効な治療方法とされていたことが,あるときから行われなくなることは,医療の世界では別に珍しいことではない。
それまで,患者様に苦痛を強いていた治療方法に意味がなかったなんてことが判明することもあり,あの方の苦しみは何だったのだろうと思うときもある。
EBMがないとされる典型例はマスクである。
現在も,日本では,風邪の流行予防のためにマスクをするなんていう風習がある。ナベツネ新聞が開いている特定の掲示板なんかに行くと「マスク信仰」が根強いなと思う。
マスクで風邪の流行が防止できるのなら,世界中でマスクが使用されているはずだが,医療現場以外でマスクを使用しているのは,東アジア地域だけである。
マスクに風邪予防の効果はない(湿気で喉に潤いがもたらされ,それが風邪予防に効果があるという意見があるので,あると思う方々の使用をとめることはしない。でも,あの息苦しさ・ツバ臭さを我慢するだけの価値があるか疑問だなと思う。)。
それと10年ぐらい前の一時期,パソコンを使う職場に「OAエプロン」という商品が置かれたことがあった。
パソコンが発する電磁波から自分の体を守ることが売りだったこの商品,私の職場でも事務部の女性が何人も使っていた。
エプロンの形からは,500円から1000円程度しかしないようなものが5000円前後で売られており,なかには1万円もするものまであった(私らが使用している看護師用エプロンは1,590円で,値段の差に驚いたものだ。)
しかし,OAエプロンにはEBMがないとの報告が出され,急速に廃れた。
今,私の職場では,誰1人OAエプロンなんて使っていない(事務部の更衣室に無造作に捨てられている。)。
こちらは,パソコンに向かうときにエプロンをするという場違いな感覚も,利用を止める原因になったんだろうと思う。
今日の常識は明日の非常識になるかもしれない。
物事は何事も疑ってかかる必要があろう。