昨年3月に,荒川沖駅前で発生した無差別殺傷事件などで殺人罪等に問われていた金川真大被告人に対し,水戸地方裁判所は,死刑判決を言い渡した。
被告人は死刑判決を受けて「完全勝利」などと話している旨の報道もあった。
そして,近いうちに控訴を取り下げると息巻いているようだ。
「死刑になりたいから人を殺した。」という動機を語る犯人というのは,別に珍しいものでもない。
「死ぬことは怖くない。」「早く死刑を執行しろ」などと悪態をつく犯人も珍しくない。
そして「控訴しても意味がない」と控訴を取り下げる犯人もいる。
下関駅無差別殺傷事件を起こした上部康明死刑囚とか,附属池田小乱入殺傷事件を起こした宅間守元死刑囚なども,悪態をついていた。
でも,上部死刑囚は,控訴審あたりから,なんとか死刑を回避できないかと,かなり努力をしていたようだ。
宅間元死刑囚は,処刑当日は半分腰が抜けたような状態で刑場に向かっている(自分から処刑室に向かったという話もあるが,真実のところは,立つのがやっとで,引きずられるように歩いていったらしい。)。
「死刑になりたいから」なんて言っているのは,死刑になる現実を想像できない(想像しないようにしている)んだと思う。
この国は死刑を存置している。
そして,いつその執行が行われるかは,まったく予測がつかない。
「今日処刑されるかもしれない。」
というのが,延々と続くわけだ。
確定後半年~1年ぐらいは,さっさと処刑しろと絶望が先に来るようだが,1年を超える頃から,生きることへ執着を見せる死刑囚が多いそうだ。
再審請求を繰り返したりするようになるのは,確定後1~2年経ってからだが,それはやっぱり生への執着なんだろう。
この被告人は,現実を全くイメージできないのではないかと思う。